
AIニュースの時間です。

今回は、文章を書くすべての人の仕事を劇的に楽にする文章作成のAIツール『Cursor』というツールを解説します。


カーソルですか?

僕のマウス操作が早すぎて摩擦で発火しかけました。

少し冷却が必要かと。

パソコン画面上のマウスカーソルではありません。

Cursorは主にプログラミングをするエンジニアの世界で使われているツールで、2023年のサービス開始からわずか2年で推定の年間売上730億円(5億ドル)を叩き出し、世界で最も早く成長しているスタートアップと話題です。


なっ、世界最速ですって!?

でもエンジニア向けとなると、文章を書く人すべての仕事が変わるというのは話が違いますよ!

実はCursorはプログラミングをしない人にもオススメできるツールなのです。


つまりボクのようなコードを書かずに世界を動かすタイプの人間にも門戸が開かれていると?

その通りです。

時間が限られているため詳細な使い方解説はできませんが、きっとCursorの凄さを感じ取ってもらえるでしょう

期待しています!

ちなみにCursorは非常に便利なツールではありますが有料です。

無料でも一定の機能は使えますが、AIの力をフル活用するなら月額約3,000円(20ドル)からの課金が必要です。(2025年9月11日時点)


ただし、その投資価値は十分にあります。

今回は、プログラミングではなく文章作成で大活躍するCursorの使い方を紹介していきましょう。
Cursorってどんなツール?何がすごいの?

ではまず、Cursorがどのようなツールなのか、簡単にご説明します。

Cursorは一言で言うと、AIの力を限界まで引き出せる文章執筆ツールです。


限界は、僕以外のためにある言葉と言いたいところですが、一度話を聞きます。

プログラミングも結局はコンピューターと対話するための言語ですから、文章を書くことと本質は同じです。


CursorはAIありきでコードや文章を作成することを前提に設計されています。

いわばAI時代の働き方に最適化されたツールです。

素晴らしいポイントはいくつもありますが、1つだけ挙げるなら、AIへの「前提情報の説明」を楽にできるという点です。


前提情報、ですか?

はい。例えばAIにメールを作って欲しいとき、「取引先へのメールを作って」と頼むだけでは、質の高いメールは出来上がりません。



僕はいつもそう指示しています。

ですが期待外れの回答ばかりなのはなぜでしょう?

情報不足です。

相手の社名やこれまでの経緯といった前提をAIに伝えて初めて、期待する成果が得られます。

確かに前提となる情報は必要かもしれません。

Cursorでは、前提情報をファイルとして保存しておけば、あとは画面にあるチャット上でファイル名をメンションするだけで、AIにその内容を読み込ませることができるのです。


メンションってなんでしたっけ?

実際にお見せするのが早いでしょう。

こちらのCursorの画面をご覧ください。


全体的に黒いですね。

本当にエンジニアじゃなくても使えるか不安です。

最初は取っ付きにくく感じるかもしれませんが、慣れるととても簡単に使えます。

まずはざっくりの理解で大丈夫ですよ。

Cursorの画面構成を簡単にご説明すると、左側に文章やコードなどを記載するファイルの一覧、


中央には選択しているファイルの中身、


右側にはAIとチャットできる画面があります。


そのチャットでファイルをメンションするのですね!

その通りです。

過去のメールのやり取りを踏まえた返信文をAIに作成してもらう場面を例に、メンション機能を使ってみます。

こちらに『過去のメールのやりとり.md』というファイルを用意しました。


この中に、取引先と過去にやり取りしたメールの全文を、マークダウンと呼ばれる形式で記載しています。


このファイルの後ろの『.md』ってやつですか?


ええ、よく気づきましたね。

『.md』が目印のマークダウン形式とは、文章を見やすくするためによく使われる、1つの書き方のことです。


文章の書き方の詳しい話はまた別の機会にお話するとして、早速この『過去のメールのやり取り』をメンションでAIに読み込ませてみましょう。

チャット欄に『@過去のメールのやりとり』と入力して、Enterキーを押します。


あ!青くなりました。これがメンション!

たったこれだけの操作で、AIはファイルに書かれた過去のメール内容をすべて読み込んでいます。

あとは続けて『ファイルの内容を参考に、メールを作成して』と指示するだけ。


そうすれば、AIがこれまでの経緯や文脈をすべて理解した上で、的確なメール返信案を作成してくれるのです。


おぉ…たしかに便利ですね。

Cursorを使えば、もうChatGPTなどのAIに必要な情報をコピペする作業は不要になります。
AIを使いこなせない意外な理由

ここまでCursorを使えばいかに簡単に、前提情報をAIに渡せるのかをお見せしました。

Cursorのさらに素晴らしい点として、AIに渡す前提情報を最新の状態に保つのが楽という点についても触れておきます。


と、言いますと?

AIに前提情報を伝える手間は、たとえ前提情報をテキストでまとめていても、その情報自体が状況によって変化してしまうことにあるのです。


その度に、AIに渡す情報を自分で更新するのは大きな手間になりますよね。

たしかに、メモ帳に書いていた情報をAIにコピペしようとしたら、そもそもその情報の修正が必要だったことに気づいて諦めたことがありました。

しかしCursorを使えば、その更新作業すらAIの力で簡単にできます。


こちらは後ほど、実際にお見せします。

細かいところにも手が届きますね。

お伝えしたこと以外にも、AIありきで文章を作ることに最適化したCursorのポイントは様々あります。

今回その全てはお話できませんが、一部を実際に見ていきましょう。
Cursorが文章作成にどう役に立つのか実践

では、Cursorがどのように役に立つのか、より具体的に見ていきます。

今回は例として、喫茶店コーヒーの淹れ方マニュアルを私が作成してみせます。

マスターの喫茶店のマニュアルですか!ぜひお願いします!

まずは準備です。

初めて使う場合は、公式サイトのこのボタンからCursorをインストールします。


アプリを開いたのちに、アカウント作成が必要です。


次に今回使う資料を用意します。

PCに「maji-cafe-manual」というフォルダを作り、その中に「参考資料」と「マニュアル」の2つのフォルダを作成しました。



フォルダはどこに作成してもいいんですか?

自分にとって分かりやすい場所ならどこでも問題ありません。

試しに使ってみる場合は、デスクトップで良いでしょう。

「参考資料」のフォルダに、お店の住所やこだわり、メニュー情報など、お店の情報をまとめて記載したファイルを作成しておきました。



これを後でAIに読み込ませるのですね!

その通りです。ではCursorを起動します。

このような画面が表示されたら、「Open Project」を押して、先程の「maji-cafe-manual」フォルダを開いてください。


フォルダを開くと、画面左側のファイル一覧に開いたフォルダの中身が表示されます。

PC上のフォルダと同じ構成になっていて、WindowsのExplorerやMacのFinderで見る内容と同じものが表示されているのです。


つまり、Cursorでファイルを編集すると、自分のPCに保存されているファイルを直接編集することになります。


なるほど。

それでは、いよいよマニュアルをAIに生成させてみましょう。

画面右側のAIチャット画面で指示を出してみます。

参考にしてほしい「お店の情報」のファイルをメンションし、このように指示します。


この指示には、ファイルの情報参考にしてマニュアルを作成してほしいこと、作業時にToDoリストを作成すること、どのような形式で出力してほしいかが書いてあります。

あとはEnterを押せば、AIが作業を始めます。

指示した通り、AIがまずToDoリスト、つまり作業計画を立てています。


なぜToDoリストを作らせたのですか?

ToDoリストを作業する前に考えさせることで、AIがより良い成果物を生成しやすくなります。

特に複雑な指示ではオススメです。

さて、AIの作業が終わったようです。


すごい、コーヒーの淹れ方マニュアルがちゃんと生成されてます!

ここからは、AIが生成してくれたマニュアルを調整していきましょう。

まず、全体的にもう少し簡潔にしたいので、AIに「全体的に文章をやや簡潔にしてください」と大雑把に指示します。


すると、AIが修正案をこのように差分で表示してくれます。

赤色が削除される箇所、緑色が新しく追加される箇所です。


なるほど、色で差分が分かるようになっているのですね。

ええ。変更内容は個別に反映することもできますが、今回は一気に反映させたいので、「Control(Command)+Enter」を押します。


これで、AIの修正案が全ての箇所で反映されました。

おお、これは便利です!

では細かい部分の修正も行っていきましょう。

例えばこの、コーヒーの抽出方法の手順に書かれている「中心から円を描くように」という箇所、少し分かりにくいですね。


この文章を選択して、インライン編集という部分的に編集をする機能をControl+Kで起動し、「より丁寧で具体例を入れた説明にしてください」と指示してみます。


すると、AIが該当箇所の修正を始めてくれるので、しばらく待ちましょう。

はい、修正が終わりました。


一瞬で修正が!

『中心から外側に向かって「の」の字を描くように…』と、曖昧な表現から誰が読んでも理解できる具体的な表現に修正できています。

次は、『抽出手順』の箇所全体をWeb検索した結果を踏まえてブラッシュアップしてみましょう。


Web検索もCursorでできてしまうのですか!?

ええ。まずは丸ごと選択して、Control+Lを押します。


すると、AIチャット欄の上部に選択した行が資料としてチャットに読み込まれているのが確認できますね。


確かに、行数が書いてある。これは便利ですね!

この状態で、Web検索をしてみましょう。

チャット欄に「@web」と入力し、続けて「プロが教える、もっと美味しいコーヒーの淹れ方はないかWebで調べて、マニュアルの選択した部分に反映してください」と指示します。


すると、AIが指定した箇所を修正してくれます。


おぉ、ちゃんとプロの知見が反映されていますね!

ちなみにWeb検索なら検索精度の高いClaude、長いチャットのやり取りや文字量の多い参考資料を扱うなら、長文に強いGeminiというように、得意なことに合わせてAIモデルを使い分けるとなお良いでしょう。

Cursorなら、このようにモデルの切り替えも簡単ですから。


最先端のAIを自由に使い分けられるなんて…!

ちなみに、もしAIの提案が気に入らなければ、AIへの指示を実行する前の状態に戻れるRedo機能で、このようにすぐに指示をやり直せますし、Control+Zで変更内容を元に戻すこともできます。


最後に、Cursorで『前提情報を最新に保つこと』がいかに簡単かをお見せします。

今回でいえば、お店の情報のファイルを更新するということですね!

例えば、お店のハウスブレンド、つまりイチオシのコーヒーを変えたとしましょう。


それに伴い必要な『お店の情報』ファイルの更新をAIにやってもらいます。

『お店の情報.md』をメンションして、AIにこう指示します。


あとは、よしなに情報を更新してもらいましょう

こんなざっくりとした指示で良いのですか?

ええ。変更が必要な箇所の特定もAIがやってくれるので、これぐらいの指示で十分です。

それでは実行してみます。

AIがファイルの中身を解析して、このように文脈に合わせて自動で更新してくれました。


す、すごい!

これだけ楽なら、変更が必要になった時にその場で修正してしまえばいいですね!

まさにその通りです。

前提情報の修正を後回しにすると、いざAIを使いたい場面でその情報が使えなくなってしまいます。


だからこそCursorで、変更が必要になったその場で最新の情報に更新できることの価値は大きいのです。
まとめ

ここまで、Cursorを使って文章作成の効率を上げる方法を実践形式で見てきました。

Cursorを使うとどれだけ楽にAIの力を引き出せるのかを体感しました!

ちなみに今回は説明を割愛しましたが、チームでCursorを使う場合は、ファイルの変更点などを管理できる「Git」という仕組みと連携する機能が非常に強力です。


Gitは少し専門的で、最初は難しく感じるかもしれませんが、それでも、わからないことをAIに聞けば理解が深まり、誰でも扱えるようになりますよ。

AIに聞くのも、Cursor上でやれますもんね!

とっつきにくいところはありますが、CursorのようなAIエディタを日常的に使って、全ての仕事をAIに任せるという働き方に慣れることが非常に重要なのです。

私も毎日使っています。

マスターが毎日…!ボクも必ずやCursorを使いこなしてみせます!

Cursor以外にもAIエディタはありますが、まずはCursorをインストールするところから始めるのが良いでしょう。

今回のAIニュースは以上です。

皆さんのAI活用のヒントになったら幸いです。また次回、お会いしましょう。