
マスター!大変なことになりました!

マジさん、そんなに慌ててどうされたのですか?

実は、上司から無理難題タスクを振られました!しかも期限は明日の朝10時まで!

「モーセの海割り」レベルの奇跡が起きないと終わりません!


落ち着いてください。まずは状況を教えていただけますか?

はい…実は、新規のお客様向けに業務管理ツールの導入を提案する資料のブラッシュアップを依頼されました。


テキスト部分はできているから、指定箇所に『イケてる画像』を挿入しろと。

『イケてる画像』ですか。

そうなんです!最初は僕の自撮りを入れろというメタファーかと思いましたが、どうやら違うようで。

ふむ。良い画像は見つかりましたか?

それが…画像素材サイトを探してもいいものが見つけられず…そこでピンと来たんです。

AIで生成しようと!僕のプロンプト術なら、ピカソも裸足で逃げ出す芸術が生まれると確信していたのですが……


どうなったのですか?

それが…出てくるのは駄作ばかり…!


僕の50手先を読む思考スピードから生まれるプロンプトは、最新AIすら置き去りにしてしまうのかもしれません。

今更、思考速度は落とせませんよ。

よろしければ、いつものように私のラボで詳しくお話を聞かせていただけますか?

えっ!ぜひお願いします!
画像生成のプロンプトを書いたら負け?

状況を整理しましょう。

業務管理ツール導入を提案する資料で使う画像を、明日の朝10時までに用意する必要がある。

いくら画像生成AIを試しても使える画像が生成されない。


こういうことでよろしいですね?

はい!早速、1発で使える画像が生成できるプロンプトを教えてください!

では、単刀直入に申し上げます。

画像生成AIを使いこなしたいなら、今すぐプロンプトを書くのをやめてください。

プロンプトを書くな!?仕事のしすぎで正常な判断能力を失ってしまったのですか!?

プロンプトを書く以外にAIで画像を作る方法などありませんよ!

ふむ、最終的にAIを動かすのがプロンプトであることは事実です。

ですがマジさん、画像生成プロンプトを『人間がゼロから作る』のは終わりです。


私たちより優秀なAIに任せる方が得策でしょう。

そんなAIに丸投げするようなやり方で、うまくいくとは思えませんが。

いえ、AIに丸投げをするわけではありませんよ。

むしろ丸投げをしているのはマジさんです。

な、何をおっしゃいますか…!丸投げしているのがマスターではなく、ぼくですって!?

はい、私にはそう見えます。

マジさんは良いプロンプトさえあれば良い画像を作れると思っていますね。


そうです!何か問題でも!?

大きな問題です。

マジさんが今回の仕事で果たすべき役割は、『精巧なプロンプトづくり』ではなく、『何がしたいのか』を言語化することです。


何がしたいかなんて当然わかっていますよ!上司が納得する資料の画像を作ることです!

そのような表面的な話ではありません。

マジさんが最初にやるべきことは、『画像をみた顧客がどのような気持ちになるのか?』を文章にすることです。


画像を見た顧客の気持ち?

そんな先のことを呑気に考えている暇があったら、ガンガンプロンプトを叩き込んで、イケてる画像が出るまで『数の暴力』で攻めるべきです!

残念ながら、『数の暴力』ではいつまで経っても納得のいく画像は得られません。

なぜです?

出てきた画像を叩き台として、『これじゃない、あれじゃない』と調整していけば効率的でしょう!

叩き台を作る事自体は悪くありません。

しかし、『画像をみた顧客がどのような気持ちになるのか?』が明確でないまま叩き台を見ても、マジさんは『これが良い画像である』と判断できません。


例えるなら、どんな料理を作りたいか決めずに、食材を包丁で切り始めるようなものです。

馬鹿にしないでください!使えるいい画像くらい自分で判断できます!

もちろん自分で判断できればいいのですが、昨晩は、試行錯誤し続けても良い画像を得られなかったのではないですか?

自分の中では良いプロンプトを使っているはずなのに。

う、それは…

となると、いつまでも使える画像が作れない原因は、プロンプトのせいではなく、そもそもマジさん自身に良い画像の判断基準ができてないことだと考えられるのではないでしょうか。

た、たしかにそうかもしれません…

でもマスター!僕にはもう時間がありません!早く資料に使える画像を生成できる方法を教えてください!
AIツールを使った画像生成の方法3ステップ

では、私がさまざまなやり方を比較検証してわかった、使える画像の作り方を実際にお見せしましょう。

使うツールは2つ。

『画像をみた顧客にどんな気持ちになって欲しいか』の言語化とプロンプト作成に使うChatGPT、そしてそのプロンプトで画像を生成するWhiskです。


ChatGPTは知ってますが、Whiskとは…

WhiskはGoogleが提供する、『画像生成』に特化したAIツールで、『Imagen4』と呼ばれる高性能なGoogleの画像生成AIモデルを搭載しています。


ChatGPTでも画像生成はできますよね。

なぜWhiskを使うのでしょうか?

ChatGPTは画像の生成スピードが遅いので、これという画像ができるまで時間がかかます。



資料の画像を次々と用意する必要のある今のマジさんには特に向いていません。

たしかに…昨夜はChatGPTが画像を吐き出すのをじっと待っている時間がいっぱいありました。

AIツールの紹介はここまでにして、画像を生成する手順を3ステップでご紹介します。


ステップ1 先ほどお伝えしたように、画像をみた顧客にどんな気持ちになって欲しいかをChatGPTを使って言語化する。

ステップ2: ChatGPTでWhisk用のプロンプトを作成する。

ステップ3: Whiskで画像を生成、です。

流れはシンプルですね。

今回は、マジさんが渡された提案資料のスライドの中から1枚選んで実演しましょう。

一度やり方が分かれば、同じ手順を繰り返すだけでスライド全体に必要な画像を量産できますから。

途中AIに指示した内容は、マジさんが繰り返し使いやすい状態で後ほどお渡しします。

ありがとうございます!

では、ステップ1。


『画像をみた顧客にどんな気持ちになって欲しいか』をChatGPTに壁打ちして言語化しましょう。

提案資料の中で画像を入れたいスライドと、そのスライドで説明する内容を教えてください。

わかりました…えっと、じゃあ、この『バラバラな情報、探す時間をゼロに』のスライドをお願いします!


ここではツールを導入して情報をまとめることの効果を伝えたいです!

ではまず、『画像をみた顧客にどんな気持ちになって欲しいか』の言語化のため、ChatGPTに案出しをしてもらいます。

ここでぜひ、私が作成したこの『刺さる画像コンセプト設計フォーマット』を使ってください。
刺さる画像コンセプト設計フォーマット
画像を見た人にどんな気持ちになってもらえれば良いのかをChatGPTに効果的に言語化させるためのフォーマットです。

ほう、なんですかこれは?

これは、『画像を見た人にどんな気持ちになってもらえれば良いのか』をChatGPTに効果的に言語化させるため、伝えるべき情報を記載しやすくしたものです。

最終的に達成したいこと、今回なら『提案するツールを導入してもらう』ことから逆算して、『画像をみた顧客にどんな気持ちになって欲しいか』を提案させる設計になっています。


この『画像を使う場面』に、業務管理ツールを提案する資料を作成していることの詳細を書きます。


画像を入れるスライドにテキストを入れる必要があるならここに書いておきましょう。


今回の場合なら、『画像を見る人』は新規の顧客。


『最終的に達成したいこと』は、私たちが提案する業務管理ツールを導入してもらうこと、ですね。


なるほど。それぞれの見出し内に書いていくのですね。

ええ、それでは実行してみます。

フォーマットをAIに入れて送信すると、このように『画像を見た顧客にどんな気持ちになって欲しいか』が3案出力されました。


もし思っていたような回答が得られなかった場合は、ChatGPTと何回か対話をします。


対話を重ねていくと、顧客にどうなって欲しいかがより鮮明になるでしょう。

対話を重ねた結果、今回のスライドに入れる画像を見た顧客に持って欲しい気持ちは『このツールで情報が一瞬で見つかるんだ!探すストレスから解放されそう』が一番適していそうですね。


この内容は、後で使うのでコピーしておいて下さい。


では、ステップ2。

今言語化したことをChatGPTに伝えて、Whiskで画像を生成するためのプロンプトを作成してもらいましょう。


どうやってプロンプトを作るのか気になります!

ここで、ぜひ私が作成したこの『画像生成用プロンプト・ジェネレーター』を使ってください。

ビジネス資料で使いやすい画像が生成されやすくするため、プロンプト作りにおける条件を指示しています。

例えば、画像生成AIは、特に指定しないと外国人が生成されることが多いのですが、ビジネス資料で自然に見えるよう日本人を生成する指示がプロンプトに入る設計にしました。



また、細かく画像の要素を指定することで、AIがより精度の高い画像を生成しやすくなっています。
画像生成用プロンプト・ジェネレーター
ビジネス資料で使いやすい画像を生成するためのプロンプトを作成します。

これでChatGPTが画像生成用のプロンプトを作ってくれるのですか?

はい。

『画像を見た人にどのような気持ちになって欲しいか』の部分に、先ほどの対話で得た結果を入力し、実行します。


早速、画像生成用のプロンプトが出てきました。


出てきたプロンプトは少し長くなるので、内容を詳しく確認するより、一度このプロンプトで画像を生成してみるのが早いでしょう。

ここで直したりするよりも、一旦画像を生成してみた方がいいってことですよね!

その通りです。生成されたプロンプトをコピーしておきます。


それでは、最後のステップ、Whiskでの画像生成です。


Whiskを開いて、この入力欄に先ほどのプロンプトを貼り付け、このボタンを押して画像を生成します。


ボタンを押してから数秒待つと、この通り。


画像が2枚生成されました。

えっ!すごい…!まさにこの画像を僕は求めていたんです!これなら資料に使えますよ!


ええ。これなら、画像を見た顧客に抱いて欲しい『このツールで情報が一瞬で見つかるんだ!探すストレスから解放されそう』という気持ちが具体的なツールイメージとともに想起されますね。

良い画像の判断基準があるだけでこんなにあっさり決まるとは…

ちなみに今回プロンプトは日本語で入力しましたが、画像生成では一般的に英語のプロンプトの方が精度が高いと言われます。


えっそうなんですか!

ただ最近の画像生成AIは英語以外の言語でも性能は高く、日本語でもこのように十分な画像が出力できます。

むしろ、我々が内容を理解し、微調整しやすい日本語の方がオススメです。

たしかに英語だと、どんな指示をしているのかぱっと見で分からないですもんね。

もし、生成された画像がイメージと違う場合は、Whiskの入力欄に残っているプロンプトを直接修正してみてください。


例えば『斜め後ろ姿から』という指示を追記するだけで、このようにすぐに再生成が可能です。


簡単に再生成できるのはいいですね!

ちなみにマスター、この左側にあるボックスみたいなものは何ですか?


これは、画像生成の元にしたいモデル画像や、背景、そしてスタイル、つまりは画風を指定できる機能です。

ただ、欲しい画像を生成するのが難しく、大抵、今回のようにAIにプロンプトを作らせて画像を生成する方が早いです。

基本は使わないということですね!

そうですね。

さて、このやり方で残りの画像はマジさん1人で仕上げられそうでしょうか?

はい!この方法ならあっという間に資料に使う画像をすべて準備できそうです!
他の画像生成AIツール

ちなみにですがマスター、今回なぜWhiskを使ったのでしょうか?

他にも画像生成ツールはありますよね?

よい質問ですね。

Whiskを選んだ理由はシンプルです。

ビジネスシーンでも使える『高品質』な画像を、『速く』、そして何より『無料』で作れるからです。


その三拍子が揃っているなら文句なしですね。

では、基本はWhisk一択と考えてよいのでしょうか?

多くの場合そういえます。

ただ、Whisk以外の優れた選択肢としてMidjourney、Adobe Firefly、そしてGoogleのAI Geminiを知っておくと良いでしょう。


重要なのは、それぞれのツールが持つ『独自の強み』を理解し、状況に応じて使い分けることです。

どのように使い分けるかを詳しく教えてください!

まずMidjourneyは、このように芸術作品のような、非常に高品質の画像を生成したい場合におすすめです。


おお…すごい。まさにアート、という感じです。

仕事で使える機会はあまりなさそうですが・・・

Midjourneyを利用するには月額約1,500円(10ドル)〜の有料プランへの加入が必要です。


次にAdobe Firefly。

これはAdobeという企業が著作権を持っている画像のみを使って学習した画像生成AIで、著作権侵害の万が一のリスクを完全に排除したい場合に最適です。


こちらも月額1,500円(9.99ドル)〜の有料になります。


やはりこれも有料なんですね。

そして最後に、Gemini。

実はGeminiにも、Whiskと同じ『Imagen4』と呼ばれる高性能なGoogleの画像生成AIモデルが搭載されており、ChatGPTのようなチャット形式で高品質な画像を素早く生成できます。



通称『Nano Banana』と呼ばれる画像の編集に特化したモデルも搭載されていて、生成した画像の編集も可能です。


えっ!じゃあ最初からGeminiだけを使えばよかったのでは…?

良い点に気づきましたね。

高品質な画像を生成・編集できるGeminiですが、画像内にAI生成であることを示す透かしが表示されてしまうのです。


透かしが入ってしまうと。資料に使う画像などには、使えないですね。

なるほど…一長一短ですね。

基本的な画像の生成にはWhiskを使い、目的によって紹介したツールを使い分けるのが賢いやり方です。
新たな武器を手に未来へ

今日の一番のポイントは、AIに指示を出す前に『何がしたいのか』を具体的にすることの重要性、でしたね。


はい!

最初に『プロンプトを書くのをやめてください』と言われたときは驚きましたが…

でも、『画像を見て顧客にどんな気持ちになって欲しいのか』を考えずに、プロンプトをいじってばかりいたからずっと上手くいかなかったんだと気づけました!

素晴らしい気づきですね、マジさん。

その調子なら、きっと素晴らしい資料が完成するでしょう。

はい、マスター!

今日の学び、そしてこの熱い魂を胸に、必ずや最高の資料を完成させてみせます!

そしていつか、マスターをも唸らせるようなAI活用法を編み出してみせますよ!

楽しみにしていますよ。頑張ってください。