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2026.06.19
作業効率化
初級

なぜ、あの人のAIは賢いのか?「AIの限界」を越える3つのコツ

「AI、ぶっちゃけ使えない」。そう感じるのは、あなたがAIのコツをまだ知らないからです。AIの性能を引き出すコツを知れば、仕事もプライベートももっと楽ができます。今回お伝えするのは、皆知らないAIの3つの壁と壁の超え方。動画を最後まで見ることで、明日からあなたのAIがさらに賢くなります。

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マジくん

マスター、聞いてくださいよ。

マジくん

ボク最近ついに、AIを使いこなしてる側の人間になっちゃいまして。

マジくん

寝ても覚めてもChatGPTと会話。

マジくん

社内じゃ数少ない、AI人材として一目置かれてるんですよ!

マスター

日頃からAIを使っているのは、良いですね。

マスター

では1つ聞きます。

マスター

そのAIから、圧倒的な恩恵を受けている実感はありますか?

マジくん

え、圧倒的?ですか…いや、便利は便利ですけど、そう言われると…ちょっと。

マスター

ふむ、AIを使っても、恩恵が感じられない場面があると。

マジくん

そうですね…提案書作らないといけないときとか、AIに書かせると、それっぽくは仕上がるんですけど、なんていうか、「ChatGPT臭」が抜けないんです。

マジくん

どこかテンプレっぽくて。

マスター

なるほど。

マジくん

それで、AIに修正を何度頼んでも良くならなかったから、最後はぜんぶ自分で書き直す羽目になって…。

マジくん

これ、AI使わない方が早かったんじゃ」って…。

マスター

AIを使わない方が早かったんじゃないか」、多くの人が一度は抱える悩みです。

マスター

ですが、まったく同じAIを使っていても、マジさんが作りたかった、刺さる提案書を、圧倒的なスピードで仕上げてしまう人もいます。

マジくん

た、たしかに、後輩で、提案書とか企画書とか、ボクが3時間うなってるやつを、平気な顔で1時間くらいで出してるやついますね…。

マジくん

って、あれ?

マジくん

じゃあボクの「AI人材」ってポジション、もしかして虚構ですか…?

マスター

落ち着いてください、マジさん。

マスター

AIを圧倒的に使える人とそうでない人

マスター

その決定的な差は、たった1つの認識の違いから生まれます。

マジくん

え、なんですかそれ!

マジくん

早く教えてください!

マスター

それは、AIを、「なんとなく頭の良いもの」と、捉えているか、それとも、「次の1語を予測する計算機」と、捉えているか、です。

マジくん

次の1語を予測する計算機…?

マジくん

あー、なんかAIは言葉を、予測してるみたいな、話は聞いたことありますけど…

マスター

「次の1語を予測する計算機」とは具体的にどういうことか。

マスター

それは、このあとお伝えしましょう。

マスター

重要なのは、そう捉えると、AIには仕組み上「3つの壁」があると気づけること

マジくん

えぇ、壁が3つも?

マジくん

なんだか、急に難しそうに聞こえてきました…

マスター

いえ。

マスター

壁の正体さえ分かってしまえば、越えるのは簡単です。

マスター

今回は、多くの人が気づかずに足を引っ張られている「AIの3つの壁」と、その越え方をご紹介します。

マジくん

その壁さえ超えてしまえば、圧倒的なAIの恩恵を受けられるわけですね!

マスター

その通り。

マスター

3つの壁をAIの仕組みから理解している人がやっているAIの活用法を、全部お見せします。

マスター

そして最後に、その中で一番効く「まずはこれさえやればいい」という方法もお教えしましょう。

AIの仕組みと「3つの壁」

マスター

ではまず、3つの壁を理解するために必要なAIの仕組み。

マスター

AIを「次の1語を予測する計算機」と捉えるとはどういうことか簡単にお伝えします。

マジくん

次の1語を予測する計算機って、イマイチピンと来ないんですよね。

マスター

難しくはありません。

マスター

AIは、入力された言葉の後に「次にどの言葉が来そうか」を確率で計算して選んでいるだけなのです。

マスター

例えばマジさん。

マスター

昔々あるところに」と聞いたら、次に何が来ると思いますか。

マジくん

え、そんなの簡単ですよ!

マジくん

おじいさんとおばあさんが」でしょう!

マスター

そうですね。

マスター

今マジさんが頭の中でやった「次に来る言葉を選ぶ」作業。

マスター

AIもまったく同じことをしています。

マスター

文章の流れから「次に来るべき最も自然な言葉」を1つ選び、それを繰り返して、長い回答を組み立てているわけです。

マジくん

へぇ!

マジくん

ボクと自然に会話しているように見えても、全部「次の言葉」を1つずつ選んでるだけなんですか…!

マジくん

複雑なことをやってるように見えて、実は結構シンプルなんですね。

マスター

ええ。

マスター

その「1個ずつ選んでいるだけ」という感覚が大事です。

マスター

実は、この「次の1語を予測する」ために、AIは3つのことをしています。

マスター

ひとつ、それまでのチャットの文章を読み込む

マスター

ふたつ、読み込んだ文章の、どこが大事かに注意を向ける。

マスター

みっつ、次の1語を書き出す。

マスター

この「読み込む・注意を向ける・書き出す」を、ものすごい速さで繰り返しているのです。

マジくん

読み込んで、注意を向けて、書く…

マジくん

へぇ、ちゃんと段取りがあるんですね。

マスター

そして「AIの3つの壁」とは、この3つの作業それぞれにある限界のこと。

マスター

読み込める量の限界が、1つ目の壁「コンテキストウィンドウ」

マスター

注意の向け方の限界が、2つ目の壁「アテンション」。

マスター

書き方の限界が、3つ目の壁「オートリグレッション」です。

マジくん

ちょっと待ってください…!

マジくん

えっと、コンテキストウィンドウ…?

マジくん

に、アテンション、オートなんちゃら…って、全部初耳ですよ…!

マスター

名前は一見難しそうですが、内容は誰でも経験したことがある話、3つとも誰でもわかるように解説します。

マスター

それぞれ、なぜ壁として存在するのか、そしてAI上級者はどうやって壁を超えているのか、一緒に理解していきましょう!

1つ目の壁 コンテキストウィンドウ

マスター

さっそく1つ目の壁、「コンテキストウィンドウ」から

マスター

この壁を理解していないと、AIを使えば使うほど言うことを聞かなくなります

マジくん

え、それは困りますよ!

マジくん

そのコンテキストウィンドウって、一体何なんですか!

マスター

コンテキストウィンドウは、ひとことで言うと、AIが1つのチャットで扱える、情報量の上限のことです。

マジくん

あ、上限があるんですね。

マジくん

AIってなんでも覚えてる、天才だと思ってました。

マスター

いえ。

マスター

チャットのやり取りを重ねてコンテキストウィンドウが埋まってくると、AIは指示を守れなくなります。

マスター

例えばAIに「500字以内で」とお願いしたのに、いつの間にか1000字で返してくる。

マスター

ですます調で書いて」とお願いしたのに、気づいたら「である口調」になっている。

マスター

マジさんも経験ありませんか?

マジくん

たしかにあります!

マジくん

言われてみれば、AIが指示を守らないのは、しょっちゅう起きてる気がしますね、コンテキストウィンドウが、そんな簡単に埋まっちゃうなんて。

マジくん

AIも案外大したことないです。

マスター

それに実は、コンテキストウィンドウが、完全に埋まる前から、AIの性能は落ち始めているのです。

マスター

2026年に発表された研究で、コンテキストウィンドウが4割から5割、埋まった時点で、AIの正解率は45%も、落ちることがわかっています。

マジくん

えっ、半分埋まっただけでそんなに…!

マジくん

じゃあボク、性能が落ちたままずっとAI使い続けてたかも…

マジくん

でも上限は来てないのに、どうして性能が落ちるのです?

マスター

そうですね。

マスター

コンテキストウィンドウを作業机と、考えると分かりやすいです。

マスター

AIとチャットのやり取りを、重ねることは、AIにとって作業机の上に、どんどん書類が溜まっていくようなもの。

マスター

ただ、机の広さには、限界があるので、書類が溜まるにつれて、見つけにくい書類が出てきます。

マスター

これがAIの性能の低下、やがて古い書類が机から溢れて、落ちていくというわけです。

マジくん

な、なるほど。

マジくん

たしかにボクの机も、大事な書類しか置いてないのに、溢れちゃうことあります。

マジくん

でも、一体どうすれば…。

マスター

コンテキストウインドウが、埋まってしまう問題の解決策は、極めてシンプル、性能が落ちたと感じたら、新しいチャットに切り替えるだけです

マジくん

え、それだけ?

マジくん

なんか拍子抜けですね。

マジくん

でもマスター、チャットを切り替えたら、それまでの指示は全部、リセットされるんですよ?

マジくん

またイチから説明し直すの、かなり面倒なんですけど…

マスター

おっしゃる通り、チャットを切り替えると、それまでの指示は消えてしまいます。

マスター

ですから、チャットを切り替える前にAI自身に「引き継ぎ書」を作らせます。

マスター

作り方は簡単。

マスター

同じチャット欄に、「次のチャットへ引き継ぐための指示を簡潔に考えてください」と入力するだけです。

マジくん

あぁそれなら簡単!

マジくん

引き継ぎ書とはたしかに盲点でした。

マジくん

でも、チャットを切り替えたくらいで、本当に変わるんですかね?

マジくん

机上の空論なのでは?

マジくん

作業机だけに。

マスター

実際に違いをお見せしましょう。

マスター

たとえばAIに、新商品の提案書を作ってもらっているとして、提案書は「商品の概要」や「その特徴」「価格」「販売プラン」「期待される効果」と、全部で5つの章で構成されているとします。

マジくん

あー提案書みたいな、長い文章作る時、同じチャットで最後までやりがちですね。

マスター

ええ。

マスター

こちらが、1章から4章まで書かせたチャットです

マスター

最初に「箇条書きで」「各章500字以内で」と頼みました。

マスター

1章は、要点が箇条書きで1行ずつきれいに並んでいます。

マスター

ですが4章になると、ところどころ「・」が抜けて、文章が続くようになってきました。

マスター

文字数も、1章より明らかに長くて、500字は超えてしまってそうですね。

マジくん

たしかに、1つのチャットをずっと使い続けてるとありがちかも…

マスター

そうですね。

マスター

このまま、チャットを切り替えずに、5章を書かせてみます。

マスター

結果はこのような出力になりました

マジくん

あちゃー、4章よりひどい!

マジくん

「・」は使われなくなって、文字数も多い。

マジくん

文字壁ってやつですねこれは。

マスター

ええ。

マスター

やり取りを重ねるうちに、はじめに指示した「箇条書きで」「500字以内で」という指示が漏れてしまった結果でしょう。

マスター

では次は、新しいチャットに切り替えた後に同じ5章を書かせてみます

マスター

まず、このボタンから会話をやり直せるので、こちらを押して、先ほど紹介した引き継ぎ書を作ってもらう指示を送信します

マスター

そして、できあがった引き継ぎ書をコピーして新しいチャットに貼り付け、続けて5章を出力させてみます

マスター

しばらく待って、出てきた結果はこちらです。

マジくん

おー!指示通り箇条書きで、整理されてるし、文字数も500字以内に、収まってそう!

マスター

そうですね。

マスター

同じ「続けて5章を書いて」という指示を出しても、コンテキストウィンドウが埋まっているチャットなのか新しいチャットなのかの違いだけで、出てくる回答の品質は、ここまで変わります。

マジくん

チャット切り替えるだけで、ここまで違いが出るとは…!

マジくん

あ、でもマスター、チャットの切り替えが、大事なのはわかったんですけど、肝心の"いつチャットを切り替えればいいか"は、どう判断すればいいんですか?

マスター

良い質問ですね。

マスター

それはAIの性能の低下を感じたとき、例えば最初に頼んだ、箇条書きが崩れたり、文字数を守らなくなってきたりしたら、それが切り替えどきです。

マジくん

AIの回答そのものが、チャットを切り替えるサインになるわけか。

マスター

ちなみに私は、性能の低下を感じていなくても、作業がひと区切りしたときには、チャットを切り替えるようにしています

マジくん

たしかに、区切りのいいところで、チャットを切り替えるのも、わかりやすくていいですね!

マスター

ええ。

マスター

やることは「指示が守られなくなったら、新しいチャットに切り替える」。

マスター

たったこれだけで、同じAIでも「賢く使える人」と「なぜか上手くいかない人」の差が生まれているのです。

2つ目の壁 アテンション

マスター

次は2つ目の壁、「アテンション」です。

マスター

アテンションとは、AIが入力された指示の中でどの部分が重要かを判断して、注意を向ける仕組みのこと。

マスター

アテンションを理解していないと、AIへの指示を丁寧に書きすぎてしまい、かえって回答が雑になっていきます。

マジくん

えっ、丁寧に指示するほど雑に!?

マジくん

ボクいつも頑張って細かく指示してるのに、それが裏目に出てるってことですか…!

マスター

その可能性はあります。

マスター

アテンションはたとえるなら、警備員のようなもの、警備が必要な場所が増えるほど、1か所あたりの警備はどんどん手薄になります。

マジくん

たしかに1人で、何十箇所も警備しなきゃいけなかったら、流石に見切れないですね。

マスター

この「警備する場所」が、AIへの1つ1つの指示というわけです。

マスター

指示が少なければ注意は行き届きますが

マスター

指示が増えるほど注意が分散してしまい、見落としてしまうものが出てきます。

マジくん

ボクAIにあれもこれもって、詰め込んで指示してました…

マジくん

気遣いが足りてなかったです…

マスター

細かく指示を足すほど、やって欲しいことが無視される。

マスター

逆に「これはしないで」と禁止したことを破られる。

マスター

全部、注意が行き届かず見落としてしまった結果です。

マジくん

うわぁ、全部経験ありますよ…。

マジくん

この間も、「敬語で回答して」ってお願いしたのに、いきなりタメ口になって!

マジくん

まだそんな関係性じゃないだろ」って思わず返しました…!

マスター

指示を増やすほど指示を守りきれなくなる」、これは最先端の賢いモデルでも、避けられないのです。

マジくん

じゃあ、たくさん指示を出さない方がいいってこと?

マジくん

でも、それじゃ、細かいニュアンスが伝わらないし…

マジくん

一体どうすれば?

マスター

アテンションの壁を越えるには、“模範解答”を渡すのです。

マジくん

模範解答…!?

マジくん

うーん、それが注意の話とどう繋がるのか、あまりピンと来ないんですけど。

マスター

先ほどと同じように、警備の例で考えてみると、警備する場所が多い場合、1か所あたりの警備が手薄になる。

マスター

でも、1ヶ所だけを警備するなら厳重に見張れます。

マスター

模範解答を1つ渡すというのは、AIに「ここさえ見ればいい」と示してあげることなのです。

マジくん

あ、なるほど。

マジくん

模範解答1つで「どんな感じにすればいいか」わかるから、注意が分散しないってことか…。

マジくん

でも、そんな簡単なことで本当にうまくいくもんですかね…?

マスター

では実際にお見せしましょう。

マスター

指示をたくさん詰め込んだ場合と、模範解答を1つ見せた場合を、提案文づくりの場面で比べてみます。

マスター

取引先の食品メーカー向けに、AI議事録ツールの導入提案文を書く、という場面でやってみましょうか。

マスター

まずは指示を詰め込むパターン。

マスター

クライアント向けの提案文を、箇条書きは使わず、専門用語も避けて…」と、提案文作成の指示を10個ほどの条件と並べて送ります

マジくん

ボクいつもこんな感じです。

マジくん

これくらい詰め込まないと、逆に不安で。

マスター

出てきた結果がこちら。

マスター

箇条書きにしない」と指示したのに、途中からいつのまにか箇条書きになっています。

マスター

専門用語は避けて」と言ったのに「スループット」のような言葉が混じっている。

マスター

並べた条件のうち、いくつかが抜け落ちています。

マジくん

指示が多すぎると、こうなっちゃうのか、でもこれ、模範解答1つで変わりますかね?

マスター

実際に見てみましょう。

マスター

模範解答になる提案文を、こちらのバッククォートと呼ばれる記号で囲って貼り、「添付の顧客情報と以下の提案文を参考に、山田食品様向けの提案文を書いて」と伝えます。

マジくん

え、指示はこれだけ!?

マスター

ええ。

マスター

ちなみに「```」で囲っておくと、どこからどこまでが模範解答なのか、AIがひとまとまりとして区別しやすくなります。

マスター

返ってきた結果がこちら。

マスター

最後まで箇条書きにならず、専門用語も出てきていません。

マスター

たくさん指示を並べたときよりも、こちらが思い描いていた完成イメージに、ずっと近いですね。

マジくん

本当だ…!

マジくん

ただ模範解答を渡すだけで、こんなに違うなんて…!

マスター

実際、Claudeを提供している、Anthropic社も、言葉で説明するよりも、適切な例を示す方がはるかに効果的、と公式に明言しています。

マジくん

なるほど、兎にも角にも模範解答が命ってわけですね!

マジくん

でもマスター、その模範解答は結局自分で作らなきゃですよね?

マジくん

それが一番ハードル高そう…。

マスター

おっしゃる通り、模範解答は、自分で用意する必要があります。

マスター

ですが、AIを使うことで簡単に作ることができますよ

マジくん

え、その方法知りたいです!

マジくん

どうやって作るんですか?

マスター

模範解答はまずAIに叩き台を作らせてから、人間の手で詰めていきます。

マスター

一定詰めたら、不完全でも模範解答として使ってください。

マスター

そして使いながら出てきた課題を、元に模範解答を改善していく、繰り返すうちに、模範解答は自然と育っていきます。

マジくん

なるほど…!

マジくん

使いながら育てていけばいいのか…!

マジくん

初めから完璧を目指さなくていいなら、ちょっと気が楽です。

マスター

ええ 理想的な模範解答が完成すれば、次の提案書もその次も模範解答を渡すだけ、毎回細かな指示や修正をする手間が激的に減って。

マスター

作業が格段とラクになりますよ。

マジくん

よし!これからAIに頼むときは、指示を並べるんじゃなくて、まず模範解答を1つ用意するようにします!

マスター

それがアテンションの壁を越える、一番の近道です。

マスター

模範解答を渡すだけで出力の質はガラッと変わります

2つの壁に共通するコツ

マスター

さて、ここまで紹介した、1つ目の壁コンテキストウィンドウ2つ目の壁アテンション、この2つの壁の越え方には、共通点があります。

マスター

マジさんは気づきましたか?

マジくん

え、共通点なんてなさそうですけど。

マスター

いえ、共通点は、「AIに読ませる情報を選んでいた」ことです。

マスター

1つ目の壁では、新しいチャットに切り替えて、要点だけをAIに読ませました。

マスター

2つ目の壁では、細かい指示をたくさん読ませる代わりに、1つの模範解答をAIに読ませました。

マジくん

あっ…!確かに、AIに必要なものだけを選んで読ませてました。

マスター

この「AIに読ませる情報を選ぶこと」を、コンテキストエンジニアリングと呼びます

マスター

2025年6月、OpenAIの創設メンバーであるカーパシーらが、「AIに渡す情報を過不足なく整理して渡すことが重要」とXで語り、この考え方は一気に広まりました。

マジくん

へぇ、AIに読ませる、情報の整理が大事なのか。

マスター

ええ。

マスター

そして1つ目の壁、2つ目の壁で身につけた「AIに読ませる情報を選ぶ」、コンテキストエンジニアリングの考え方は、いろんな場面に応用できます。

マスター

たとえば「AIに書かせた文章をチェックさせる時、同じチャットの続きではなくあえて新しいチャットに文章を貼り直してチェックさせる」。

マスター

これもコンテキストエンジニアリングの応用です

マジくん

えっ、同じチャットの方が、流れもわかってて、話が早そうですけど?

マスター

流れをわかっていることが問題です。

マスター

同じチャットのAIは、いわばその成果物を作った本人。

マスター

こう伝えたかった」という意図まで分かっているので、つい甘く見てしまいます。

マスター

自分で書いた作文を自分で採点するようなもので、客観的なダメ出しはできません。

マジくん

あー、言われてみれば、いつもAIにレビューさせると、「問題ない」って言うばかりで、肝心のダメ出しは、いい回答が返ってこなかったかも…

マスター

流れを知らない別のチャットに、レビューを依頼する指示と、見てほしい文章だけを読ませる。

マスター

何を読ませないか」を選ぶこともコンテキストエンジニアリングなのです。

マジくん

なるほど、もうこれでAI上級者になれた気分です!

マスター

ただ、ここまでお伝えした「コンテキストエンジニアリング」だけでは、越えられない壁がもう1つ残っています。

3つ目の壁 オートリグレッション

マスター

さて最後の3つ目の壁、それが「オートリグレッション」です。

マスター

オートリグレッションとは、AIが次の1語を書き出す、その「書き出し方」の仕組み。

マスター

AIは1語書くごとに、ユーザーの指示だけでなく、AI自身がそこまでに書いた分まで、全部を読み返して、次の1語を決めているのです。

マジくん

えっ自分で書いた分も、毎回読み返してるんですか?

マスター

はい。

マスター

そしてこの「毎回、自分の出力を含む全てを読み返す」仕組みが、2つの弱みに繋がるのです。

マジくん

えぇ、弱みが2つもあるのか…

マジくん

1つ目はなんです?

マスター

1つ目は、書き間違いや矛盾が、ずっと残り続けること、毎回全部を読み返すということは、やり取りの途中にある、AIの間違った回答や。

マスター

AIへの矛盾した指示などが、毎回読み返す対象として、残り続けるということです。

マジくん

なるほど。

マジくん

でも、後から「やっぱりこうして」って直せば、その間違った内容も消えるのでは…?

マスター

いえ、消えません。

マスター

訂正しても、それは読み返す内容に訂正のやり取りが追加されるだけ。

マスター

一度出力した書き間違いはやり取りの中に残ったままです

マスター

結果、「やっぱりこっち」という指示が、その後ずっと、AIが1語を出力する度にAIが迷うノイズになり続けるのです。

マジくん

あ…!

マジくん

たしかに前に取引先へのメールをAIに書かせたとき、最初に日程を「14日」って入れて、

マジくん

後で「やっぱ15日に変えて」って頼んだのに、

マジくん

出力に14日が残ってたことがあって。

マジくん

あれはオートリグレッションが理由だったんですね。

マスター

ええまさに、そして2つ目の弱みは、回答が長くなるほど、出力に時間がかかり、内容も雑になること。

マスター

1語出すたびに全部を読み返すわけですから、文章が長くなるほど読み返す量が増え、AIの負担は大きくなります。

マジくん

うっそれも身に覚えが…

マジくん

この間、経費精算を楽にするツールを、導入する企画書を、AIに書かせたんですよ!

マジくん

前半は違和感なかったのに、後半になるほど、的外れな感じがして、AIに厳しく当たったせいだと、思ってました…

マスター

伝え方の問題ではありません。

マスター

文章を書く処理が、それだけAIにとって重いのです。

マスター

ですが安心してください。

マスター

このオートリグレッションの壁、AIの使い方次第で越えられます。

マジくん

マスターがそう言うなら、間違いないですね!

マジくん

その使い方気になります!

マスター

では、普段私がAIに出力させる際の一連の流れを実際にお見せしましょう。

マスター

まず重要なのは、「はじめに詰めきること」

マスター

たとえば企画書なら、AIに企画書を作らせる前に、企画の中身や方向性を詰め切ってしまいます。

マジくん

あー、なるほど。

マジくん

はじめに詰めきっちゃえば、後から「やっぱりこうして」みたいなこと言わずにすむって訳ですね!

マジくん

…けどマスター、その最初に詰めるってのが簡単にできたら苦労しませんよ。

マスター

ご安心ください。

マスター

その難しい「詰める」作業を、AIが手伝ってくれる仕組みがあります。

マスター

Grill-me」というSkillです。

マジくん

グリルミー?に、スキル?

マジくん

わからない言葉が一気に出てきて、ヘルプミーです。

マスター

Skillとは、よく使う手順を、AIに覚えさせておく、仕組みのこと。

マスター

Grill-meはその1つで、こちらがやりたいことを、ひと言伝えると、AIがどんどん質問してくるのです。

マスター

こちらはその質問に答えていくだけで、やりたいことの、具体的な内容が固まっていきます。

マジくん

質問に答えていくだけで?

マジくん

本当にそんなことが、できるんですかね?

マスター

ええ。

マスター

では先ほどマジさんがおっしゃっていた、後半が的外れになってしまったという、経費精算ツールの企画書、この場でゼロから作ってみましょう!

マジくん

お、リベンジって訳ですね。

マジくん

やってやりますよ!

マスター

では、まずGrill-meスキルの準備から。

マスター

こちらのリンクからzipファイルをダウンロードして、Claudeのサイドバーにあるカスタマイズからアップロードしておくだけ。

マスター

あとは入力欄に半角の「/」を打って一覧からgrill-meを選び、やりたいことをひと言、雑に伝えます。

マスター

今回は「経費精算ツールの導入を提案する企画書を作りたい」と送ってみましょう。

マジくん

だいぶざっくりですけど、大丈夫なんですか?

マスター

これで十分です。

マスター

するとAIの方から、質問が返ってきました。

マジくん

ほんとだ!

マジくん

「この企画書は誰に向けて書くものですか?」って。

マジくん

しかも、答えの候補まで一緒に出してくれてる!

マスター

ここがGrill-meの良いところ。

マスター

ゼロから自分でひねり出すのではなく、AIが出した候補から選ぶか、少し直すだけ。

マスター

今回は社内の決裁者、部長、と答えて送ります。

マスター

するとすぐ次の質問が来ます。

マスター

この調子で質問がなくなるまで、答えていくだけです。

マジくん

えーっと、次の質問は…

マスター

数分後

マジくん

ふぅ質問多かったですけど、選択肢から選ぶか、ちょっと直すかするだけで、ぜんぶ終わっちゃいました…!

マスター

では固まった中身を見てみましょう。

マスター

誰に出すか、今の経費精算の何が問題か、ツールの導入にはいくらかかるか、など、

マスター

企画書作成時に、詰めるべきことが、ずらりと決まりました。

マジくん

たしかにこれはすごい!

マジくん

具体的な内容がカチッと、固まってるじゃないですか…!

マスター

ええ。

マスター

しかし、このまま同じチャットで「企画書を書いて」と続けることはオススメしません。

マジくん

えっなんでですか?

マジくん

せっかく詰めたのに。

マスター

このチャットには、選ばなかった案や、答える途中で迷った跡が、全部残っているからです。

マスター

先ほどお伝えした弱み①、覚えていますか?

マジくん

あっ、書き間違いや迷った指示が、ノイズになって、引っ張られるってやつですね!

マスター

その通り。

マスター

だから、内容だけをドキュメントにまとめて、まっさらな新しいチャットに渡します

マスター

ちなみに、私が普段このような文章を作るのに使っているのは、

マスター

「AIエディター」と呼ばれるCursorや、ClaudeCodeというツールで、パソコンの中のファイルにAIが直接書いてくれるものです。

マスター

ただ、少し専門的なので、今日は誰でも使えるGoogleドキュメントを使う形でお見せしますね。

マジくん

お、それならボクでもすぐ使えそうです!

マスター

では、先ほどのチャットで対話で固まった内容を、「Googleドキュメントに書き出して」と頼むと、このようにドキュメントができました。

マスター

ドキュメントに残しておけば、AIが書いたものを、自分の手で微修正することも簡単です。

マジくん

なるほど!

マジくん

たしかに、ちょっとだけ内容変えたい時、AIに言うより手で直しちゃった方が早そうですもんね。

マスター

ええ。

マスター

では、先ほどgrill-meで詰めた内容をまとめたドキュメントを新しいチャットに渡して、こう頼みます。

マスター

「この内容をもとに、企画書前半の「4.導入するツールと選定理由」までを書いて」。

マジくん

えっ前半だけ?

マジくん

最後まで一気に出させた方が。

マジくん

早いのでは?

マスター

いえ、さきほど言ったとおり、一度に長く書かせるほど、後半が崩れていく。

マスター

だから短く区切って、前半・後半と分けて書かせるのです。

マジくん

あ、そうでした…!

マスター

では後半も書かせて、仕上がった完成形がこちらです。

マスター

現状の運用と、問題点に続いて、後半には、削減できる時間の試算や、導入にかかるコストまで、書いてあって、質の高い提案書になっています。

マジくん

おお…!

マジくん

導入スケジュールとか、最後の方まで、ちゃんと書けてる…!

マジくん

ボクが同じチャットで、一気に出させてた時は、いつも後半がグダグダだったのに、全然違いますよ!

マスター

ええ、grill-meで、中身を詰め切って、AIに、長い出力をさせない、これは、どんなAIを使うときにも効く共通のコツです。

マジくん

ボク、いつもいきなり「これ作って」ってお願いしてました。

マジくん

次に何か書かせる時はまずGrill-meで詰めてみます!

マスター

ええ、それだけで、AIの出力は見違えるほど変わりますよ

AI業界の最新トレンド

マスター

ここで最後にもう1つ、知っておくと面白い話を。

マスター

今、AIをとことん使いこなす人たちの間で、新しいキーワードが広まっています。

マスター

それが「ハーネスエンジニアリング」。

マジくん

へぇ!

マジくん

はーねす…?

マジくん

ってあの大型犬とかに、付けるやつですか?

マスター

ええ、由来は同じです。

マスター

もともとハーネスとは、犬や馬に装着する「引き具」のこと。

マスター

胴体にベルトを回して、犬や馬の力をソリや荷物を引く「仕事」に向ける道具です。

マジくん

えっと、それとエンジニアリングが、繋がるとどうなるのです?

マスター

ハーネスエンジニアリングは、AIにも同じように、仕事の道具を装着してあげることです。

マスター

たとえば、社内の資料にAIが自由にアクセスできるようにしておけば、人間がいちいち資料を渡さなくても、AIが必要な資料を自分で開いて読みに行ってくれるようになる。

マジくん

へぇなるほど!

マジくん

たしかに普通のAIって、チャットでやり取りする、ことしかできないですもんね、AIがパソコン勝手に、いじって作業するなんて。

マスター

そうですね。

マスター

実際、AIが賢くなるにつれて、人間の役割は「細かく指示を出す」ことから、AIが働きやすい道具や環境を整えることに変わってきています。

マジくん

ってことは…ハーネスエンジニアリングが、できれば、ボクは、寝てても仕事が終わるなんてことも!?

マスター

十分あり得ます。

マスター

ちなみに実はマジさんも、すでにこの、ハーネスエンジニアリングの一部を実践していますよ。

マジくん

え、ボクが!?

マジくん

教えてもらった、コンテキストエンジニアリング、だけじゃなくて?

マスター

はい。

マスター

先ほど紹介した「Grill-me」スキルがまさにそれです。

マスター

スキルは、いわばAIの判断で自由に使える道具

マスター

人間が毎回細かく指示しなくてもAIが正しい手順で動けるようにしておく、立派なハーネスの一部だったのです。

マジくん

ボク、知らないうちに最先端を走っていたなんて…!

マジくん

って、そうだ、最初に言ってた「まずはこれさえやればいい」って話は、結局何をやればいいんです?

マスター

まさに「Grill-me」を最初に使うこと。

マスター

まずはこれだけ覚えておけば大丈夫です。

マジくん

あれでも、Grill-meって、3つ目の壁の道具ですよね?

マジくん

なんでそれが一番に?

マスター

実はGrill-meは、3つの壁全てに効くからです。

マスター

先にやりたいことを固めれば、AIは間違った前提に、引っ張られない、

マスター

結果、やり直しが減って、チャットも短く済むから、コンテキストウィンドウも埋まらない。

マスター

最初に詰め切れば、指示を足さずに済むから、アテンションも散らない。

マジくん

ひとつで3つ全部!?

マジくん

なんだ、難しく考えなくても、AIにお願いする前に、まずGrill-me、それだけでいいんですね!

マスタークエスト

マスター

では、ここで、今回のマスタークエストです。

マスター
マスター

AIと対話して、やりたいことを詰め切るだけで、AIから返ってくる出力が、まるで変わります。

今回のまとめ

マスター

さて、今日の内容を振り返ってみましょう。

マスター

AIは「次の1語を予測する計算機」。

マスター

読み込んで、注意を向けて、書き出す。

マスター

ただ、これを繰り返しているだけでした。

マジくん

でもその、それぞれに壁があるんですよね。

マスター

その通り、壁1、コンテキストウィンドウ、壁2、アテンション、壁3、オートリグレッション。

マスター

ただ壁の越え方はどれもシンプル、記憶が溢れる前に、新しいチャットへ切り替える、指示を並べる代わりに、模範解答を1つ渡す。

マスター

AIに書かせる前に、Grill-meで詰め切る、たったこれだけで、AIからの回答の質は激変します。

マジくん

マスター。

マジくん

今日の越え方、どれも拍子抜けするくらい簡単でしたね。

マジくん

正直ボク、ずっと心のどこかで「AIを使いこなせるかどうかなんて、結局その人の頭の良さ次第だ」って思い込んでました。

マジくん

後輩がボクの3時間1時間で片付けるのも、才能の差なんだって。

マジくん

認めるのが怖くて、見ないフリしてました。

マスター

無理もありません。

マスター

できないことがあると、誰しもつい自分の能力を、疑ってしまうものです。

マスター

そのことを自覚できるマジさんは、とても賢いと思いますよ。

マジくん

ありがとうございます!

マジくん

ボク今日ではっきり分かりました!

マジくん

才能も頭の良さも関係なかった、ボクと後輩の、差はAIの3つの壁とその超え方を知っているかどうかだけだったんですね。

マスター

ええ、その通りです。

マスター

マジさん、AIを賢く動かすのに、特別な才能は要りません。

マスター

AIの賢さを決めるのはいつだってその使い方、そのことを、覚えていてください!

マジくん

はい!

マジくん

明日からAIの限界を、引き出して、れっきとしたAI人材になってみせます!

マスター

ええ、良い知らせを、楽しみに待っています。

まとめ

AIを賢く使える人とそうでない人の差は、「AIの3つの壁」を知っているかどうかだけ

AIの3つの壁と、その越え方

  • 壁1 コンテキストウィンドウ=容量の上限。埋まる前に新しいチャットへ切り替える
  • 壁2 アテンション=注意力の限界。指示を並べず模範解答を1つ渡す
  • 壁3 オートリグレッション=自分の出力に引っ張られる。Grill-meで先に詰め切る

今日からやること

  • AIに頼む前に、まずGrill-meで詰め切る(3つの壁すべてに効く)
  • 渡す情報を絞る=コンテキストエンジニアリング
  • 道具や手順を与える=ハーネスエンジニアリング
参考文献

※以下は記事公開時点(2026-06-19)の情報です。