冒頭

マスター!もうどうしたらいいかわかりません!

マジさん、どうされたのですか?

聞いてください!先日、上司がビル・ゲイツは読書家であることを語りだしたので、「ボクなら1日10冊など準備運動にもなりませんよ」とつい事実を述べてしまったのです!

それで、上司はなんと?

週に1冊でも十分だから、勉強のために読書感想文を提出しろと言われました。

これまであえて「思考の断食」を行なっていたのですが、ついに封印を解くときが来たかと、早速、本屋でビジネス書のベストセラーを買い込んだのです…


読書習慣、素晴らしい取り組みですね。続いていますか?

いえ、それが続かないのです。1ページ読む間にボクの脳内ニューラルネットでは関連情報が100テラバイト規模で駆け巡り、熱暴走を起こしてしまうようなんです。

気がつけば熱冷ましにショート動画ばかり見てしまいます。


読書が続かず、つい他のことをやってしまうということですね。

そもそも没頭できる面白い本に巡り会えてないだけだと思うんです。マスター、何かおもしろい本を教えてください。

なるほど。面白い本、ですか。マジさんのその考え方は少し間違っていますね。

なんですって!?

読書習慣を続けたいけどなかなか続かない。マジさんのような人におすすめのAI活用法があります。この続きは、私のラボでお話しましょう。

ぜひお願いします!
読書の常識を破壊する

まず、状況を整理しましょう。マジさんは読書習慣が続かなくて困っている。そこで「面白い本」にさえ出会えれば読書は続けられると考えている。こういうことでよろしいですね?


はい!早くおすすめのAI活用法とやらを教えてください!

単刀直入に申し上げます。マジさん、面白い本を探すのは今すぐやめてください。

なんですって!?聞き捨てなりません!面白さを生み出すために魂を削った全てのクリエイターへの冒涜です!

世の中には、素晴らしい本が溢れています。しかし、マジさんは多くの方が絶賛するベストセラーを手に取ったにもかかわらず、読み進められなかったのですよね?

うっ…それは…

マジさんが読書を続けられない根本原因は、面白い本に出会えていないからではなく、「本を面白くする方法」を知らないだけなのです。


本を面白くする方法?そんなものがあるとは思えませんが。

本を面白くするとは、「ワクワクを最大化する」こと。

いや、ワクワクって小学生ですか…。どの本を選ぶかが全てでしょう。

いいえ、重要なのは本を読む一連のプロセスです。読書がつまらなくなる3つの大きな壁を乗り越える必要があります。


3つの壁…?何ですかそれは?

1つ目は「本選びの壁」、2つ目は「読み始めの壁」、そして3つ目は「途中挫折の壁」です。

この3つの壁をAIを使って乗り越えることで、読書は別次元の体験になります。


別次元とは大きく出ましたね。まあいいでしょう。聞かせてください。

まず最初の「本選びの壁」。自分が本当に読むべき本だと心の底から納得できないという壁です。

この壁を乗り越えるため、AIを使って自分の悩みを言語化し、AIに今の自分が読むべき本の選択肢を出してもらいます。


AIの選ぶ本なんて、たかが知れています!それよりも書店で本たちの「囁き」に耳を傾け、導かれるように手に取る…。それが本選び、知性との結婚です!

たしかに、書店での出会いは魅力的ですが、「なぜ自分にこの本が必要なのか?」を理解できていなければ、本を買って満足してしまいます。

いいじゃないですか!売れているものは価値がある証拠ですし!

おっしゃる通りです。しかし、売れているものがマジさんにとって今必要なものとは限りません。


AIを活用すれば、自分に必要なものが何かを理解した状態で購入することができます。

そんなことが本当にできるのでしょうか?

次に「読み始めの壁」。本を読んだ先にどんな良い未来があるのかイメージできず、読み進める動機が湧かないという壁です。

この壁を越えるため、自分が気になる本についてAIに熱血プレゼンを行ってもらいます。


AIのプレゼンで心が動くなんてことあるのでしょうか?

あります。AIをうまく使えば、ワクワクするプレゼンを作ってもらうことができますよ。

もう十分です!具体的な使い方を教えてください。

最後の壁について説明して具体的な話をしましょう。最後は「途中挫折の壁」。本の途中でよく分からない箇所があると読む気が失せてしまいます。

この壁を解決するためにAIと対話しながら読み進めます。


いちいちスマホを開いてAIに質問するなんて、余計に集中できないのでは?

たしかに少し面倒ですが、分からない言葉を放置したまま読み進めるストレスに比べれば、遥かに快適です。

ええい、ごちゃごちゃと!マスターは読書を難しく考えすぎです!そこまでいうなら、本なんて読まずAIの要約だけ読めば十分でしょう!

AIの本要約を読む、これこそが最強のAI活用法です!

非常に鋭いご指摘ですね。AIの要約は、たしかに本の「知識」を効率的に教えてくれます。

ですが、その効率性が私たちの深く考える時間を消してしまいます。


言いがかりです!効率化を否定するなんて、人類の進歩の否定です。マスターは明日から馬で移動してください。

マジさんは、「ネット・バカ」という本をご存知でしょうか?


ネット・バカ…!まさかボクのことじゃないですよね?

この本、情報収集の効率化の罠の危険性を10年以上も前に警告していた有名な本なのです。

この本の著者は、インターネットによって私たちは常に答えをすぐ得られるようになった結果、深く考える能力や集中して思考を続ける力が失われている、と警鐘を鳴らしました。


AIによる本の要約も同じだと言うのですか?

おっしゃる通りです。AIの要約は、ネット以上に強力な「思考のショートカット」です。

頼りすぎると、知識と知識を関連づけ、自分なりの意味を見出すという深い思考を放棄することになります。簡単に言うと、表面だけわかった気になって何も得られず終わります。


うう、たしかに。今までたくさんの本の要約を見ましたけど、あまり覚えていません。

AIで簡単に情報が手に入る今だからこそ、本を通じて深く思考する価値は高まっています。
実践:AIで読書を知的エンタメに変える

では、私が実際に試して見つけた読書のワクワクを最大化するAI活用法の具体的な手順をお見せしましょう。

お願いします!

今回は、2つのAIを使います。OpenAI社のChatGPTと、そのChatGPTに並び優秀なAnthropic社のAI、Claudeです。


ChatGPTは、人間のように自然な音声対話で話すのが得意です。そしてClaudeは、提案内容を図解するなど、視覚的に分かりやすく表現する能力に長けています。

2つのAIを使い分けて、先ほどお伝えした3つの壁、「本選びの壁」「読み始めの壁」「途中挫折の壁」を順に乗り越えます。


1つずつ乗り越えていくと。

ええ、少し時間はかかりますが、それだけの価値があります。それに、これからお伝えするAI活用法で使うプロンプトは、全てすぐ使える状態でお渡ししますよ。

それは助かります!

でははじめに、「本選びの壁」を突破しましょう。ChatGPTとの音声対話でマジさんの悩みを言語化し、その内容をもとに今のマジさんに最適な「人生を変える本」を3冊提示してもらいます。


ChatGPTと対話するのですか?

はい。AI相手なら、対話の方がテキストでのやり取りより自分の本音を語りやすいです。まずはテキストでこのプロンプトを入力します。

そこで使うのが、私が作成した『モヤモヤの言語化プロンプト』。このプロンプトは、『本人さえ気づいていない本質的な課題』をAIが引き出せるよう設計しました。必要な質問をAI自ら行い、あなたの本質的な課題の仮説を立ててくれます。

普通に音声対話をするよりも、このプロンプトを打ち込んだ方が、より的確な質問を投げかけてくれるようになるでしょう。
モヤモヤの言語化プロンプト
必要な質問をAI自ら行い、あなたの本質的な課題の仮説を立ててくれるプロンプトです。(音声対話モードだけでなく、テキストでのやり取りにも使えます)

プロンプトを送ると、この対話におけるゴールと、具体的に何をしてくれるのかが表示されます。


これが表示されたら、画面下のチャット欄、一番右側にあるボタンを押して、音声会話に切り替えてください。

「もしもし」と話しかけた後は、ChatGPTの質問に答えていくだけです。


なんだか緊張しますね。

大丈夫ですよ。AIは決してマジさんを否定しませんし、どれだけ返答に時間をかけても良いのですから。

ChatGPTの話をさえぎって話しかけても問題ありません。では、はじめましょう。

わ、わかりました。もしもし

最近、上司と話す際に「何を言っているのか分からない」と言われることが多くて。






マスター、今終わりましたよ!す、すごかったです…!ChatGPTにグイグイ質問されて、自分のモヤモヤした気持ちが的確に深掘られていきました…。

自分がどんなことに悩んでいて、そこにはどんな課題があるのか、最初よりもかなり具体的になりました!


では、対話で明確になったマジさんの課題をChatGPTにテキストでまとめてもらい、その内容をもとに「人生を変える本」を3冊提示してもらいましょう。そのために使うのが、次の「「あなたの専門司書プロンプト」です。

僕の専門?

ええ。このプロンプトは、先ほど明確になった課題に関連する本を徹底的にリサーチし、そこから『あなたの課題に最も影響を与える3冊』を厳選するよう設計しました。今の自分に必要な本が何か、理由とともに教えてくれます。
あなたの専門司書プロンプト
先ほど明確になった課題に関連する本を徹底的にリサーチし、そこから「あなたの課題に最も影響を与える3冊」を厳選するよう設計したプロンプトです。

プロンプトを入力してから数十秒待つと、このように出力されます。悩みや課題の要約と、それに合った3冊が提示されていますね。


自分のモヤモヤした気持ちがクッキリ文章になっただけでなく、悩みに合わせて的確な本の選択肢まで…!

ええ。このChatGPTの出力は、この後のステップで必要なのでコピーしておきます。ではマジさん、この3冊の中でどれが一番気になりますか?

うーん、3冊目の「1分で話せ」ですかね…。今のボクに一番刺さります。


いいでしょう。これで「本選びの壁」は突破です。では2つ目「読み始めの壁」に進みましょう。本を読みたい気持ちを最高潮に高めるため、私が作った「本の熱血図解プロンプト」を、Claudeで使ってください。

熱血…図解?

このプロンプトでは、AIに「熱血プレゼンター」かつ「デザイナー」の役割を演じさせています。見る人ならではの「本の魅力を最大限に引き出す図解プレゼンを作成する設計で、事前知識だけでなく、本を読むための「熱量」が手に入るプロンプトです。
本の熱血図解プロンプト
見る人ならではの本の魅力を最大限に引き出す図解プレゼンを作成する設計で、事前知識だけでなく、本を読むための「熱量」が手に入るプロンプトです。

「○番目の本」のところを書き換えて気になる本を選択するのですね!

その通りです。「◯番目の本」を書き換えて、先ほどのChatGPTの出力をこのプロンプトの最後に貼り付けて使います。

書き換えと出力の貼り付けが完了したら、「じっくり考える」と「Web検索」がオンになっていることを確認して、右にあるこのボタンを押して実行します。


うわっ!何ですかこれ!ただの紹介じゃない…!「あなたの中に眠る可能性をたった1分で輝かせる『魔法の鍵』」…今すぐAmazonの購入ボタンを押したいです!

その燃え上がった好奇心こそが、「読み始めの壁」を破壊した証拠です。残るは最後の壁、「途中挫折の壁」。これからの読書を全力でサポートしてもらうため、この「読書パートナープロンプト」を使いましょう。

読書パートナー?

ええ。このプロンプトは、AIを単なる解説役ではなく、感動を分かち合い、疑問に寄り添う最高の相棒に変身させます。「挫折しがちな読書を、二人三脚の知的エンターテイメントに変える。それがこのプロンプトの役割です。
読書パートナープロンプト
AIを単なる解説役ではなく、感動を分かち合い、疑問に寄り添う最高の相棒に変身させます。挫折しがちな読書を、二人三脚の知的エンターテイメントに変える。それがこのプロンプトの役割です。

プロンプトをチャット欄に打ち込んで、一度出力されれば準備は万端です。さあ、実際にその本を少し読んでみてください。

分からないことや、心が動いたことがあれば、すぐに目の前のClaudeに話しかけてみましょう。

では、最初の部分だけ読んでみますね!…気になる所がありました。『この「結論ファースト」というのは、何がそんなに大事なの?』


…なるほど!こうやって聞くと、AIと会話して自分の思考を深められるんですね!

…他にも、すごく僕に刺さった一文がありました!

「あなたの価値は、既に十分にある。足りないのは、それを伝える技術だけ」…これもClaudeに聞いてみます!


すごい!AIと感想まで共有できるなんて…!これならどんなに分厚い本でも、最後まで楽しく読めそうです!
なぜChatGPTとClaudeだったのか?

ちなみにマスター!なぜ今回はChatGPTとClaudeを使ったんですか?他にもいいAIはありますよね。

良い質問ですね。結論から言うと、今回必要なAIの能力に、現状最も長けたAIの組み合わせだったからです。

例えば、悩みを深掘りするステップ1では、人間のような自然な音声対話が重要でした。

この点では、現状ChatGPTが他のAIより一歩リードしています。Claudeの音声対話はまだ日本語に対応していません。


一方で、ステップ2の「予告編プレゼン」で見たようなビジュアル作成能力は、Claudeが圧倒的に優れています。


ChatGPTでもThinkingモードという長く思考してくれるモードを使えば、それなりのレベルの図解を作ることはできますが、Claudeには及びません。


よく比較対象にあげられるGoogleのGeminiも、あのレベルの図解を作るのは難しいです。

たしかに、あの図解プレゼンはすごかったです…!

日本語で自然に悩みを聞き出せるChatGPTと、図解プレゼンが得意なClaudeを組み合わせるが、現時点での最適解と言えますね。


なるほど、まさに適材適所!でも、あの図解を生成できるほどのツールとなると、結構お金がかかるんじゃ…?

先ほどの図解プレゼンの生成に使ったClaudeの最新モデル「Opus4.1」を利用するには、月額約3000円(20ドル)の有料プランに加入が必要です。(2025年9月7日時点)


ただ、無料プランで使える「Sonnet4」というモデルでも、見栄えは少し劣りますが、このように十分質の高い図解プレゼンを作ってくれます。

無料でも図解プレゼンができるとは!

手順は無料プランでも同じですから、まずは無料で体験してみてください。もっとリッチな図解が欲しくなったら、有料プランにアップグレードするのが良いでしょう。
AIと踏み出す、新たな読書の冒険

マジさん、課題だった読書習慣は身につけられそうでしょうか?

はい!本を読むのが楽しみになりました!AIで読書をこんなにもワクワクする体験にできるなんて!AI活用だけでなく、今回僕は1つ大きな勘違いに気づけましたよ!

どんな勘違いでしょうか?

読書の本当の価値です。ボクはマスターの話を聞くまでは、読書なんて、AIの要約を読むだけで十分だと思っていました。

でもそれは、自分の頭で考えるという一番価値あるものを、自ら捨ててる行為だったんですね…。

素敵な学びですね。AIで素早く情報収集できる時代だからこそ、自分で考える力が重要になります。


結論だけ聞けば、当たり前に見えることでも、じっくりと咀嚼することでハッとする気づきを得られるはずです。

人生を変える機会はいつも余白の中にあるのですよ。

ワクワクしてきました!AIを活用して今日から読書習慣を続けていきます!

マジさんの成長が楽しみです。

マスター!コーヒーを一杯いただけないでしょうか?さっそく一冊読み進めようと思いまして!

もちろんです。ちょうど美味しいコーヒー豆がありますよ。