これさえ押さえておけば取り残されない最先端のAIニュースを1日1つお伝えします。
マジさん。実は今、日本のアニメがAIにパクられていて、しかもそれを止められないという事実をご存知でしょうか?
なんですって?
どうしてそんなことが!
今回お伝えするのは、ChatGPTの開発元、OpenAIの提供する『Sora』がジブリ作品などの日本のコンテンツを無断で学習しているとして、権利団体から対応を迫られているニュースです。
なっ、けしからんことです!
即刻中止させるべきです!
しかしマジさん、そう単純ではありません。
実は、AIがコンテンツを"学習"するだけでは、罪に問えない可能性があるのです。
えっ?
無断で使っておいて?
ええ。日本にはマリオ、ジブリ、ドラえもんのような世界に誇るコンテンツが数多くあります。
しかし今、AIによってその歴史が根底から揺るがされようとしています。
日本の誇りが…どうすれば止められるのでしょう?
そういうマジさんも、Soraを使った動画生成で、知らず知らずのうちに著作権違反に加担しているかもしれません。
い、いや、ボクに限ってそんなことはありません!
そうだと良いのですが。
今日は、『OpenAIけしからん』というただの感情論で終わらせず、AIと著作権の残酷な真実を共に見ていきましょう。
何が起きているのか?Soraへの公式要請
まず、今何が起きているのかを把握します。
10月27日、スタジオジブリやバンダイナムコなどが所属する日本のコンテンツ権利者団体CODAが、OpenAIにAIの無断学習をやめるよう公式な要請書を提出しました。
CODA、初めて知りました。
ええ、あまり知られていないですね。日本コンテンツの価値を守り、世界に広げるための団体ですが、あくまで権利団体。
今回の要請に法的拘束力はありません。
うーん、もどかしいですね。
それで、OpenAIは対応してくれたのですか?
今のところ、要請に対する明確な動きはありません。
実は、『Sora』は意図的に日本の人気コンテンツを学習している可能性も否定できないのです。
知りながらやったとしたら大問題ですよ!
どうしてそう思われるのです?
海外企業によく見られるサービスを伸ばすためのグレーな戦略だからです。
かつて、YouTubeには、違法アップロードされたアニメ動画などが溢れていました。
権利保護システムを導入したのは、ユーザーが増えて巨大化してからです。
なるほど。今でも違法動画はたくさんありますよね…。
ええ。明確にダメだと言われるギリギリまで躊躇わず攻める、それがサービス拡大に繋がることは否めないでしょう。
もちろん、良いことではありません
OpenAIのSoraも言われてから考えようというスタンスなのですね。
なんというかお行儀が悪いです。
ところでマスター、AIの無断学習が罪に問われない可能性があるんですよね?
はい。鍵を握るのが11月4日にイギリスで判決が出た『Getty Images vs Stability AI』の訴訟。
良質な画像や動画の素材を提供するGetty Images社が、画像生成AI「Stable Diffusion」を運営するStability AIを著作権侵害で訴えていました。
Stable Diffusionで、Getty Imagesが提供しているものと同じような画像が生成されたのですか?
その通りです。
Gettyの透かしマークまでもが画像内に生成されました。
なんと!
Getty Imagesからしたらサービスが不要になる死活問題ですね。
判決は?
結果をざっくり言うと、裁判所は『AIモデルの学習自体は違法とは言えない。しかし、生成物が元の画像に酷似していれば著作権侵害の可能性がある』と判断しました。
うーん、どういうことでしょう?
料理人で例えるなら、『他のお店の料理を研究し、腕を磨くのはOK。でも、提供する料理が他のお店の看板メニューとそっくりだったら問題になる』ということです。
なるほど!参考にすること自体は問題なしとなったわけですか。
その通り。
ただしこれはあくまでイギリスでの一事例であり、世界のスタンダードが決まったわけではありません。
しかし、今後の議論における重要な先例になったことは確かです。
そもそも「著作権」って何だっけ?
でも、AIの学習に使えるってことは、クリエイターには不利な判決ですよね。
そもそも著作権は、クリエイターを守るためのものではないのですか?
素晴らしい視点です、マジさん。
その疑問に答えるためにも、そもそも『著作権』とは何か?に立ち返ってみましょう。
法律の話はどちらかというと得意ではないのですが…。
安心してください。簡単にご説明します。
著作権は、昔、活版印刷という本の複製技術が登場したことで生まれた『コピー』を防ぐための権利が始まりです。
自分が出版した本なのに、他の人の名前で売られていたら困りますからね。
へぇ。初めは本のコピーを防ぐための権利だったのですね。
はい。そして、徐々に他の制作物にも適用されるようになりました。
なるほど。でもマスター、作られたものがコピーかどうかって誰が決めるのですか?
基本は、そのコンテンツがあるプラットフォームに委ねられます。
ただし、最終的に決めるのは裁判所ですね。
そこで重視されるのは『実害』、つまり権利者が具体的な不利益を被ったかどうかです。
実害というと例えばどんなことでしょう?
おそらくマジさんも知っている有名な事例がありますね。
2021年に判決が出た『漫画村』事件です。
あぁ、漫画を無料で読めた、あの海賊版サイトですね!
はい。運営者は著作権侵害で有罪判決を受けました。
これはクリエイターや出版社の利益を明らかに害する、悪質な『コピー』だったからです。
たしかに実害以外の何者でもないですね。
では、AIの『ジブリ風』動画とかは?
そこが難しいグレーゾーンです。
『トトロ』そのものを生成すれば、明らかなアウト。
しかし、『ジブリ風の森の生き物』ではどうか。
た、たしかに…。線引きが難しいですね。
最終的には裁判所の判断になりますが、その曖昧さが問題を複雑にしていますね。
ただSoraでは、誰が見ても『ドラゴンボールの孫悟空』や『スーパーマリオ』だとわかる動画を生成できてしまうことが確認されています。
それはもう、アウトじゃないですか…!
そうですね。
だからこそ今、CODAのような団体が声を上げ始めているのです。
「オリジナル」の価値が溶け、新たな"絵の具"が生まれる時代
ただし、たとえ明らかなコピーが取り締まられたとしても、AIによる学習は止まりません。
というと?
『〇〇風』といったグレーゾーンのオマージュ作品は、誰でも簡単に、そして無限に作れてしまう時代です。
ヒットアニメが生まれたら、その世界観に影響を受けた作品が大量に作られるでしょう。
この流れは、もう誰にも止められないんですね。
ええ。オマージュ作品が大量に生まれることで、むしろその表現スタイルが当たり前になり、オリジナルの価値が相対的に薄まってしまうかもしれません。
それはクリエイターにとって、あまりにも残酷な未来です…。
そうですね。
しかし、別の視点もあります。
これは新しい文化の発展と捉えることもできるのです。
クリエイターにとって酷なこの状況が、文化の発展?
例えるなら、ひまわりで有名なゴッホのタッチが、後の多くの画家に影響を与え、新しい文化が生まれたように。
AIによる『〇〇風』の表現も、文化の発展と捉えられる、と…?
ええ。もちろん、オリジナルの作り手が正当な対価を得られなくなる危険性も同時に存在します。
ですが、この流れは、一部の専門家しか使えなかった表現技術が、すべての人に解放される『表現の民主化』とも言えますね。
私たちは今、その歴史的な転換点に立っています。
では、本日のデイリーニュースは以上です。
また明日お会いしましょう。